私、画家ジョージア・オキーフが好きでして。
彼女ゆかりの土地をめぐる旅をしたことがあります。
2013年の夏から秋に変わる頃です。
オキーフは、女性でありながら抽象画の創世記(1900年台初頭〜)を鮮やかに彩った画家。
例えばこんな作品。
オキーフが62歳の時、夫の死をきっかけに、活動拠点であったニューヨークを去ります。
移り住んだのは、ニューメキシコ州のアビキュウという町。
彼女がかつて旅行で訪れ、以来ずっと心の片隅で重力を持ち続けていた場所。
抜けるような空がただどこまでも続く、乾いた荒野です。
オキーフが愛したその荒野に、ぜひとも行ってみたいぞ。
というわけで、サンタフェを拠点にアビキュウを目指してみました。
ニューメキシコ州サンタフェを拠点に
サンタフェ。といえば、あの写真集(宮沢さんのやつ)は実におしゃれでありましたな。
実際、サンタフェの町は実にフォトジェニック。
スペイン領、メキシコ領になった経緯を持ち、かつては原住民族プエブロ・インディアンが暮らしていた土地。
プエブロ伝統のアドビ建築が立ち並び、異国情緒たっぷりです。かわいい。
ちなみに、サンタフェにはこじゃれたブティックホテル(当時宮沢さんも泊まったというエルドラドとか)がたくさんありますが、私は案の定町外れのSuper8。
サンタフェのダウンタウンを少し外れたCerrillos Rd沿いに、モーテルがいろいろありまして。ここのSuper8、安いです。4〜5,000円台/泊。しかも近くに自然派スーパー「Natural Grocers」あるし。おすすめ。
(いや、予算に余裕があればダウンタウンの素敵ホテルの方が断然いいと思うけれども。)
あ、自然派スーパーといえば、サンタフェにもホールフーズあります。
あ、個性派スーパー「トレーダー・ジョーズ」もあります。
スーパー好きにもうれしい町、サンタフェ。
あと、ニューメキシカンな料理もいろいろ美味しかったなー。
また別記事にまとめます。
サンタフェのダウンタウンには、ジョージア・オキーフ美術館もあります。
小さな美術館だけど、オキーフの作品がたくさん展示されていました。
空と大地に抱かれたアビキュウ
サンタフェのダウンタウンを抜けて、84号線をひたすら北上。
ああ、ニューメキシコの空は、空というより宙(そら)であることよ。
青くて、高い。眺めるうちに溶けてしまいそうになる。
私、この空に魅せられて以来、その後何度もニューメキシコを訪れております。
この青の質量の豊かさ。たまりません。
所用1時間弱で、アビキュウ・インというホテルに到着。
ここにジョージア・オキーフ・ウェルカムセンターとやらがあります。
といっても、私が行った当時はなかった。最近できたんですってよ。
この近くにオキーフが住んでた家があるそうです。
家を見学するツアーもあるそうな。サンタフェの美術館がツアーの窓口だそうです。
このホテルのロビーで買った絵本。
オキーフの人生が描かれています。お気に入り。
自由と孤独のゴーストランチ
アビキュー・インからさらに北西へ15分ほど行ったところが、ゴーストランチ。
オキーフは、ここにもうひとつ家を持っていたのだそうです。
アビキューよりさらに自然が近く、その分だけ弊害もおおいにありそうなところ。
寒中は特に厳しかったようで、冬の間はここではなくアビキューの家で過ごしたのだとか。
ゴーストランチ。2日続けて訪れたのですよ。
初めて行ったとき、ひどい曇天だったのです。
孤独がひしめいていました。
オキーフは、ここに独りで暮らしていたのか。こんな寂しいところに。
炎天の時期のニューメキシコなのに、この日は手を擦り合わせるほど寒くて、なんだかどうにもこうにも切なくって、晴れた日のアビキューを見るまで意地でも帰らんからね、もう。みたいな気分になって。
幸い翌日ド晴天に恵まれたので、勇んで再訪してみたというわけです。
晴天のゴーストランチは、青かった。
木漏れ日がきらめき、小鳥がさえずり、木々が穏やかに揺れていました。
曇りと晴れでは、天と地でした。
雨の日も嵐の日もここで過ごしたのだな。
暑くて、乾いて、荒涼が染みる日もあっただろうな。
禅問答みたいな日々だったかもしれないな。
I think it's so foolish for people to want to be happy. Happy is so momentary--you're happy for an instant and then you start thinking again. Interest is the most important thing in life; happiness is temporary, but interest is continuous.
Georgia O'Keeffe - goodreads
「わたし、幸福になりたいなんていうのは、馬鹿げているって思うんですよ。
だって幸福は儚いものですから。つかの間の幸せを感じて、その後はまた幸せに関心を注いで。その関心こそが人生の重心なのよ。幸福はひととき。でも関心は果てないものだから。」ジョージア・オキーフ(意訳:私)
Whether you succeed or not is irrelevant, there is no such thing. Making your unknown known is the important thing--and keeping the unknown always beyond you.
Georgia O'Keeffe - goodreads
「成功するかどうかなんて、考えてもしょうがないじゃないですか。そんなもの存在しないのだもの。自分の中の未知を知ること、そこに意味があるのですよ。そして瞳のその先に、いつも未知を探し続けることよ。」ジョージア・オキーフ(意訳:私)
雨もある。晴れもある。だからただ、好きに生きなさい。
オキーフがそう言っているような気がしました。
あ、そうそう。ゴーストランチにいくつかトレッキングコースがありまして。
「チムニー・ロック」へ続くまあまあハードな2時間のコースにもチャレンジしてみました。
これまた別記事にまとめます。
ジョージア・オキーフと草間彌生
ところで私、草間彌生も好きなのですよ。
で、その草間彌生の憧れの人が、オキーフだったんですって。
自身が書いた水彩画に手紙を添えて、オキーフに送った事もあるんですって。
しかも返事が届いたのだとか。
で、ニューヨークに渡ってひっ迫した創作活動をしている草間さんを、既にアビキュウに住んでいたオキーフが心配して訪ねた事もあるんだって。
それぞれ独立して好きだった人が、実は人生を交わらせていたとは。
最近この事を知って、なんだかとてもうれしかったのです。
(おわり)
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