ろくに下調べもせず、ふらりウエストマウイをドライブした時のこと。(2014年春)
道すがら駐車スペースを見つけるたびに立ち寄ってみたりしながら、最終的にはカハクロア村を目指して車を走らせていました。
で、立ち寄った場所のひとつがここ。
Googleマップ先輩いわく「Acid War Zone Trail」というやつらしい。
降りてしばらく歩くと、ささやかな案内板が立っていました。

おお、聞いたことあるぞ。「Nakalele Blowhole」な。潮吹き穴な。
たしかガイドブックで見たような気がする。
向かってみました。
潮吹き穴より気になるストーンメイズ
あれ、かな? たぶんあれ、だな。



この日お天気が曇り気味で、そのわりに波が穏やかで、いくら見つめても潮が吹き上がらないので、あれが本当にそれだったのかは謎。
後で友人に聞いた話では、ハート型の岩穴が見えるとかいう乙女チック要素もあったらしい。へえ。
あ、一応案内板にあったLight House(灯台)も行ったよ。

そんなことより気になったのが、潮吹き穴に向かう途中にあった、謎のストーンサークル。

なんだこれは。サークルというよりメイズだ。迷路だ。
周囲に人がおらず、勝手に立ち入っていいものか分からず、写真さえ勝手に撮っていいのか分からなかったのだけど、ひとまず撮るだけ撮った。
これまた後で友人に聞いた話では、このストーンメイズ、いつ誰が作ったのかはっきりと分かっていないのだそう。
誰でも自由に立ち入り可能で、この迷路をたどって戻ってくると魂が浄化されるという言い伝えがあるのだとか。
おお、入ってよかったのか。入ればよかったよ。
無駄に真面目な一面が出てしまった。
けっして迷わない迷路に込められた想い
思い出したのは、フランスのシャルトル大聖堂のラビリンスと、ホピ族やトホノ・オオダム族が好んで描くモチーフ「マン・イン・ザ・メイズ」。
シャルトル大聖堂は、中世に建てられたカトリック教会。
行ったことはないのだけど、聖堂の床一面に迷路が描かれているのを何かで見たことがありました。

かつて巡礼者が膝を付いて、祈りながらこの迷路を辿ったのだとか。
こうして俯瞰で見るとよく分かるのだけど、迷路(英語ではラビリンス=迷宮と呼ぶが)とはいえ岐路があるわけでも行き止まりがあるわけでもない。
祈りながら、膝を擦りながら、進むことをやめなければ最後にはゴールに辿り着ける。
もう一つは、ネイティブアメリカンのトホノ・オオダム族が起源とされるモチーフ「マン・イン・ザ・メイズ」。

ここに描かれる迷路もまた岐路らしいものがない。
人生の旅路を表していて、誰もが経験と選択を重ねながら大いなるスピリットに導かれるのだと言う。

ふむ。マウイのストーンメイズも、これらに見た目がよく似ている。
作った人が意識したのかもしれない。おそらく込めた想いは同じなのでしょう。
誰もが等しく迷いながら進むのだと。だけど行き止まりは決して無いのだと。
東洋思想を帯びたヒップ感もある
「シャルトル・ラビリンス」は近頃では瞑想ツールのモデルにもなっているそうな。
迷路を不乱に歩くことで、瞑想がうまくいくのだとか。
そういうの、いかにも禅とかヨガとかが好きなヒップな人たちが編み出しそうだ。というか私もそういうの、けっこう好きです。
もし晴れていれば、抜ける青空と、群青の海と、若草色の大地のコントラストに石の迷路が映えるだろうな。
山丹花(たぶん)のポップなピンクで、さらにドリーミーな雰囲気になるだろうな。

よし。晴れた日にまた行こう。
ラビリンスで瞑想しよう。わくわく。
ついでにハート型の岩穴も見てやろうじゃないか。
(おわり)

